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2017年09月29日
疑似DES
内藤先生のブログから拾ってきたネタです。
東京地裁 税理士の「DES」リスク説明義務めぐり3億円損害賠償命令KaizeiZine 2016.06.28
「相続税対策のリスク説明がなかったために損害を被った」—。
税理士法人が元顧問先から損害賠償を求められていた裁判で、東京地方裁判所(宮坂昌利裁判長)はさきごろ、元顧問先の訴えを全面的に認め、税理士法人に総額3億2900万円の支払いを命じる判決を下した。税理士法人が相続税対策として提案したのは、債務の株式化により債権者の資産を圧縮するデット・エクイティ・スワップ(DES)。テクニカルな相続税対策が次々に開発される中、今やポピュラーな手法ともいえるDESの説明義務違反で賠償命令が下された判決に、顧問先への説明義務に日々心を砕く全国の税理士が強い関心を寄せている。
https://kaikeizine.jp/article/2164/
相続対策としてA社の顧問をしている税理士法人がDESを提案しました。
内容はA社の元社長が会社に対して貸し付けている最近のうち9億9000万円をA社のDESの対象に、これによりA社は、4億9500万株を第三者割当で新株を発行。
A社の資本金は、2000万円から5億1500万円に。
その後減資。
という流れ。
一応A社には繰越利益剰余金がマイナス10億あるため株価は0円。
一見良さそうに見えますが、税理士法人のDESの提案書には、債務消滅益に対する課税の可能性や課税された場合の具体的な税額の試算等についての記載はないそうです。
DES実行時の債権は「時価」です。これにより債権の額面金額との差額は「債務消滅益」として法人税の課税対象となります。
つまり10億円が実際には時価は1000万円だとすると、債務消滅益は9億9000万円。
訴えられた税理士法人からすると、「やっちまった~。」ですね。
疑似DESはご存じでしょうか。
疑似DESとは、債権者が金銭による増資を行った後で、債務者が債権者に債務を弁済する方法で、結果的にDESと同じような効果が得られます。
疑似DESは、現物出資ではなくあくまでも金銭出資ですので、債務者の債務額相当額が払い込まれるならば、債務消滅益が生じないはずですが、DESと効果は同じであり問題はないのか疑念は残ります。租税回避っぽいですからね(笑)。見せ金っぽいですけど、見せ金じゃありません。立派な増資と返済です。
A社の社長は、金銭的に余裕があったり、あるいは金融機関から借り入れもできたんだとすると、税理士法人が疑似DESを提案すれば済む案件でした。
疑似DESは、過去に何回かやりましたけど、DESと同じなのに、租税回避っぽいなあ~と思っておりました。
投稿者 harada : 2017年09月29日 13:41