ひよっこ支部長の司法書士ブログ  by 司法書士法人ファルコ

東京都港区の司法書士原田正誉のブログ 会社設立、新会社法対応、遺産相続登記、抵当権抹消手続等の司法書士事務所の仕事をブログでご紹介

前のページに戻る

« 司法書士にとっての休暇分散化 | メイン | 訳あり商品・訳あり物件 »

2010年03月05日

秘密証書遺言 見たことありますか???

「公正証書遺言」 の効力を否定 宇都宮地裁判決(2010.3.4 産経新聞)
  死亡した父親の遺言書による土地所有権の移転は無効だとして、宇都宮市の男性(50) が土地の移転登記抹消を求めた訴訟で、宇都宮地裁(竹内民生裁判官)が、公証人が作成した遺言書には効力がないとして、 原告の訴えを認める判決を出したことが4日、分かった。公証人が作成した公正証書の効力が否定される判決は、全国的にも珍しいという。 (略)
竹内裁判官は「父親は末期がんで意識レベルが低下しており、公証人の問いかけに対し、声を出してうなずくのみだった」と指摘し、 民法で定められた遺言の条件となる「口授」を満たしていないと判断、遺言を無効とした。(以下略)

 

民法の条文見てみますか?


(公正証書遺言)第九百六十九条
 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、 公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

 

確かに「遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。」とあります。

以前ある研修で公証人の先生が、「遺言能力については、ある程度(広めに?)認める」とおっしゃってました。

この記事によると「声を出してうなずくのみだった」とあります。声を出さずに、うなずくのみでは問題あると思いますが、

 

公証人「この内容で間違いないですか?」

遺言者「はい。」と声を出してうなずくのみだった。

 

というシーンはこの件以外にもありそうな話です。

 

 

詳細分からないので、程度の問題だと思われますが、せっかく万全と思われた公正証書遺言を作成しても安心できないようですね。

 

遺言には、 この公正証書遺言の他に自筆証書遺言秘密証書遺言がありますが、 実務で秘密証書遺言を見たことがありません。

平成7年~平成17年の統計によると、公証役場における全遺言の中で秘密証書遺言の割合は、

 

0.12%~0.32%

 

にしかすぎないようです。
ソース元:平成18年(ネ) 第2271号遺言無効確認請求控訴事件 判決文

1000件に1件ぐらいだとすると、小さい公証役場だと10年に1回あるかどうかでしょうか?当然のことながら、 公証人であっても人生で1回秘密証書遺言にあたるかどうかというレベル。

私が見たことないのも、むしろ普通ですね。
ちょっとテーマがずれちゃいました(笑)。

 

投稿者 harada : 2010年03月05日 20:35

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://shihoushoshi.main.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/1388