« 合同会社(日本版LLC)への組織変更 2 | メイン | 株主総会議事録への押印の有無 »
2006年12月07日
決算公告1度もなし
近未来通信、見せぬ経営実態…決算公告1度もなし 投資家から資金を募ってIP電話事業を行う「近未来通信」(東京都中央区)が、旧商法(現会社法)
で義務づけられた決算の公告を全く行っていないことが分かった。 (2006年11月14日 読売新聞より引用) |
こんなニュースご覧になるとどう思われますか?
「むむむむ。悪そうな会社だな。」「法律違反してる悪い会社だな。」という印象を持たれる方が多いと思います。
ニュースにある会社法とは第440条のことです。
第440条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、 定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
これは旧商法でも同じでした。条文だけ見ると「株式会社は決算公告が義務付けられている」のがお分かりになると思います。会社法では、 「株式会社は」となっていますので、昔の有限会社、今の「特例有限会社」は含まれません。
ちなみに、公告はほとんどの中小企業は、この会社に限らず、「官報に掲載する」としている企業がほとんどです。 (ちなみに掲載費用は6~9万円程度です。)
じゃあこの会社のように、決算公告しないとどうなるでしょう?
会社法976条2項 百万円以下の過料に処する。
となります。
6~9万円の掲載費用をケチって、100万円の過料じゃたまりませんよね。
と、ここまで読まれると、「報道された会社は、やっぱり悪そうな会社」という確証になったのではないでしょうか。
「ちょっと待って、うちの会社もやってないよ。」という中小企業の方は、 この記事を読むとドキドキされるんじゃないでしょうか?
総務庁「事業所・企業統計調査」によれば、中小企業の会社数は約150.8万社、全会社数に占める割合は99.2%です。
さてここで問題。
最新の中小企業庁の「会計処理・ 財務情報開示に関する中小企業経営者の意識アンケート」によると、決算公告を行っていると答えた方は、全体の何%でしょう?
A 0.4%
B 4.4%
C 44.4%
D 94.4%
法令順守はどれほどか?正解は→B
投稿者 harada : 2006年12月07日 14:44